食品において食中毒などの危害や品質劣化の大部分は微生物に起因します。
したがって、常に食品の安全性を確保しヒトへの危害を未然に防止することが重要となります。
充実した検査設備と長年培った技術、経験を生かして、食品衛生管理をサポートします。
検査項目 | 必要量 | 搬送方法 | 所要日数(営業日) |
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一般生菌数 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 3日 |
大腸菌群 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 3~6日 |
糞便系大腸菌群 | 50g | 冷蔵・冷凍 | 3~5日 |
黄色ブドウ球菌 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 3~5日 |
サルモネラ | 50g | 冷蔵・冷凍 | 3~6日 |
腸炎ビブリオ | 50g | 冷蔵(冷凍不可) | 3~5日 |
大腸菌(E.coli) | 30g | 冷蔵・冷凍 | 3~5日 |
病原性大腸菌 O157、O111、O26 | 50g | 冷蔵・冷凍 | 3~5日 |
腸管出血性大腸菌 | 200g | 冷蔵・冷凍 | 3~7日 |
カンピロバクター | 50g | 冷蔵・冷凍 | 4~7日 |
エルシニア | 30g | 冷蔵・冷凍 | 3~9日 |
セレウス菌 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 3~5日 |
乳酸菌 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 4~5日 |
ウェルシュ菌 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 3~8日 |
クロストリジウム属菌 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 3~5日 |
リステリア・モノサイトゲネス | 200g | 冷蔵・冷凍 | 3~12日 |
腸球菌 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 5~10日 |
緑膿菌 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 3~7日 |
真菌(カビ・酵母) | 30g | 冷蔵・冷凍 | 7日 |
真菌同定(カビ)(属まで) | 21~45日 | ||
真菌同定(酵母)(属まで) | 21~45日 | ||
好気性耐熱生菌 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 3日 |
低温細菌 | 30g | 冷蔵・冷凍 | 11日 |
無菌試験 | 1包装以上 | 冷蔵・冷凍 | 16~18日 |
細菌同定 | 14~21日 |
一般生菌数 | 大腸菌群 | 大腸菌 | 黄色ブドウ球菌 | サルモネラ | 腸炎ビブリオ | セレウス菌 | カンピロバクター | クロストリジウム属菌 | 病原性大腸菌O157 | 乳酸菌数 | リステリア・モノサイトゲネス | |
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弁当・惣菜・調理パン | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
卵及びその加工品 | ◎ | ◎ | ||||||||||
牛乳・アイスクリームなど | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ||||||||
生菓子 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
野菜 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
生鮮魚介類 | ○ | ○ | ◎ | |||||||||
魚肉練り製品 | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | (○) | ||||||
牛肉・豚肉・鶏肉など | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
食肉製品 | ○ | (◎) | ◎ | ◎ | ◎ | (◎) | ○ | (◎) | ||||
冷凍食品 | ◎ | ◎ | (◎) | ○ | (○) | (○) |
◎・・・成分規格に沿った項目
○・・・検査実施が望ましい項目
( )・・・検体により行ったほうがよい項目
食品の衛生学的品質を評価する衛生指標菌、または環境衛生管理上の汚染指標菌とされています。好気的な条件で発育した中温性の細菌数です。生菌数の多い場合には、食品の衛生的取り扱いが悪かった恐れがあり、また食中毒菌などの病原菌の多くが中温細菌であることから、病原菌が存在する可能性が高いことを示しています。
大腸菌群とはグラム陰性、無芽胞桿菌で、乳糖を分解して酸とガスを産生する好気性または通性嫌気性の細菌群です。環境衛生管理上の汚染指標菌または食品の品質を評価する衛生指標菌と考えられています。つまり、加熱処理をされた食品から大腸菌群が検出された場合には、不完全な加熱処理や加熱後の二次汚染など取り扱いの悪さを示します。また、未加熱食品から少量だけ検出された場合には、衛生学的にあまり意味がありませんが、菌量が多ければ不潔な取り扱いを受けたことが推測され、腸管系病原菌の汚染を受けた可能性があり、清潔かつ安全な食品でないことを示しています。
大腸菌群の中で44.5℃で発育し、乳糖を分解しガスを産生する細菌群を糞便系大腸菌群といい、食品衛生法ではE.coliと表現しています。さらにIMViC試験のパターンが「++--」のものを大腸菌としています。大腸菌が検出された食品では、大腸菌群や糞便系大腸菌群よりも一層不潔な取り扱いを受けたことが推測され、それだけ腸管系病原菌の汚染の可能性がより一層高くなります。
人の手指、鼻前庭、咽頭などに常在し、自然界に広く分布しています。黄色ブドウ球菌による食中毒は、食品の保存中に増殖し、産生された外毒素(エンテロトキシン)を接種することによって起こる毒素型食中毒菌です。特定な食品に限らず、あらゆる食品を汚染します。とくに人の手指を介して食品を汚染するので、食品は素手で扱わないようにして汚染経路を断つことが必要です。
サルモネラ属菌は大腸菌と同じ腸内細菌科に属し、生化学的性状によって6亜種に大別され、約2000種類の血清型がある代表的な食中毒菌です。ウシ、ブタ、トリ、など各種の家畜や家禽をはじめ、カメやカエルなどの腸内等、自然界に広く分布しています。乾燥条件にも強く、汚染された家畜の飼料が家畜や家禽の感染源になっています。サルモネラ属菌による食中毒は、サルモネラ属菌に汚染された食肉、牛乳、卵、およびこれらの加工製品を接種し、腸管内で増殖することによって起こる感染型食中毒です。
ビブリオ属菌は、本来海水細菌で、沿岸海域付近の海水および魚介類、沈殿物などに広く分布しています。輸入魚介類は特に注意が必要です。ビブリオ属菌による食中毒は、これらにより汚染された魚介類などの食品を摂取し、腸管内で増殖することによって起こる感染型食中毒菌です。
リステリア・モノサイトゲネスは、河川水や動物の腸管内など環境中に広く分布する細菌です。他の一般的な食中毒菌と同様に加熱により死滅しますが、4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できる点が特徴です。一般に、食品を冷蔵庫で保存したり、塩漬けしていると、食中毒菌が増えないと思いがちですが、このような条件でも増殖し、食中毒の原因になる恐れがあります。しかし、健康な成人では非常に多くの菌量を摂取しなければ発症しないため、賞味期限や保存方法を守っていれば、食中毒が発生するほどの菌数にはなりません。
セレウス菌は土壌、塵埃、汚水など自然界に広く分布し、人の腸管内にも保菌されています。食品の腐敗菌として古くから知られており、穀物などの食品から高率で分離されます。セレウス菌は耐熱性の芽胞を形成するため、煮沸などの加熱によっても完全に死滅させることが困難であり、品質管理上問題となります。セレウス菌による食中毒は、感染型食中毒と毒素型食中毒が認められています。
カンピロバクターによる食中毒は、食肉、食肉製品や牛乳などを介して起こる感染型食中毒です。酸素3~15%の微好気条件下という環境が必要であり、また4℃などの低温でも長期間生存できるので冷蔵保存状態でも食中毒を引き起こす可能性があります。
乳酸菌は土壌、植物、人や動物の腸管や口腔など体内など自然界に広く分布しています。乳酸菌の多くは、他の有害菌の生育を抑制する効果が強いことから、有用菌としてはっ酵乳や乳酸菌飲料など発酵食品の製造に欠かせないものです。一方、自然界に広く分布していることから、食肉製品や魚肉製品などの食品を汚染する機会が極めて多く、さらに0℃付近の低温や45℃以上の高温、pH4前後の酸性域で増殖するものもあり、酸素の有無に関係なく増殖し、また多くの保存料にも強く抵抗性を示すなど、食品保存において制御しにくい菌群でもあります。特に、包装食肉および魚肉製品の緑変などの変色、退色あるいはネトの原因として知られています。このように食品を腐敗、変色などの品質劣化させるため、乳酸菌は衛生的品質を評価する衛生指標菌ともされています。
偏性嫌気性の芽胞形成菌群で、ボツリヌス菌およびウェルシュ菌などの食中毒菌が含まれます。また、タンパク質や糖分解など品質劣化作用の強い菌種が多く、食品衛生上重要な菌群です。土壌、下水など自然界に広く分布し、食肉および魚介類などの食品は本属菌に汚染される機会が多く、これらを主原料とする食品がウェルシュ菌やボツリヌス菌による食中毒の原因となった事例が多いです。
大腸菌は腸内細菌科に属し、エシェリヒア属の1菌種で、グラム陰性、通性嫌気性の無芽胞桿菌です。ヒトや動物の腸管内に常在し、土壌や水などの自然界に広く分布しています。その多くは病原性を示しませんが、一部の大腸菌は病原性大腸菌といわれ、病原性を示し、食中毒や急性胃腸炎を起こします。病原性大腸菌は4種類に分類され、特に腸管出血性大腸菌として「O-157」が代表的であり、その他にも「O-26」「O-111」などが知られています。