私は、福島県郡山市にある食品分析センターで、微生物検査を担当しています。内容としては、食品中の細菌数や食中毒菌の有無を調べるといった検査が代表的です。その他、食品製造・販売現場、調理場などにある器具器材や、それらに関わる人達の手指を専用器具で拭き取り、菌の有無を調べる検査も行っています。
会社のある郡山市は、「楽都郡山」として音楽に非常に力を入れています。音楽コンクールの全国大会に進む学校も多く、特に合唱に関しては、近年全国1位を獲得している学校もある程、高いレベルで活動を行っています。私も学生時代合唱部に所属していたため、毎年各校の結果を楽しみにしています。
臨床検査技師を志望していたため、大学ではその夢に向けて専門課程で学んでいました。しかし、大学3、4年生の時に参加した検査センターでのインターンシップや、病院での実習で実際の業務に触れ、自分が思い描いていた進路は、臨床検査技師ではなく別の道があるのではないかと思いました。同時期に、世間で関心が高くなっていた食品検査についての興味も自分自身の中で高まっており、大学で学んだ知識を活かしつつ、食に関わるような仕事に就きたいと方向転換をしました。そんな時、私の出身地からすぐ近くの郡山市にある食品分析センターの業務内容が、自分の希望と完全に一致していたため、すぐに入社を決めました。
私達が扱うのは食品や器材などあくまで「物」ですが、そこには必ず「人」の手が関わっており、「人」の思いがあります。検体数も多く、毎日同じ作業の繰り返しですが、そこは決して忘れてはいけない部分であると肝に銘じて業務を行っています。そのため、結果に間違いがあるということは言語道断です。食品分析センターでは、ISO17025という結果の正確性を保証する国際規格を多くの項目で取得し、職員みんなが責任を持ってお客様のご依頼に向き合っています。
また、主任という立場になり、お客様だけでなく一緒に働く職員も大切にしていきたいと考えているため、働きやすい職場環境を作ることにも日々努めています。
私たち検査担当者は、直接お客様とお話しする機会は基本的にはありません。しかし、営業担当者が説明しきれないような専門的な内容のお問い合わせがあった場合には、直接お電話することもあります。そのため、検査方法や結果の解釈などを、どのような言葉・表現でお話しすると理解していただけるのか常に考えています。お客様とお話しした際に、理解や感謝の言葉をいただけると非常に嬉しいですし、ただ検査をしているだけでは味わえない感動も覚えます。
そのほか、私は単純に検査結果を見るのが好きなので、検体に対して自分が予想したような結果が出ると思わず笑顔になってしまいます。
最終的に臨床検査技師の資格は取得しましたが、私は大学生活の中盤以降に進路を変えました。その結果、働いて15年経った今でも仕事が楽しいです。実際経験してみないと気付けないことがたくさんあるので、自由が利く学生の内に、可能な限り色々なことに挑戦するのは大切だと思います。また、自分が進んでいる道に違和感を覚えた時には、思い切って違う道に進んでみる勇気も必要かもしれません。
そして、勉強でも遊びでも中途半端に向き合うと社会人になってから必ず後悔するので、何事も全力で取り組むことを強くお勧めします。
食品分析センターでは主に微生物検査・理化学検査・異物検査・放射能検査を行っており、私は食品中に混入した異物を試験する異物検査室に所属しています。センターは福島県郡山市にあり、現在は関東圏を中心に日本全国の多くのお客様から検査のご依頼をいただいてます。
郡山市の名物として個人的には食パンにミルク風クリームを塗った菓子パンをおすすめしたいです。スーパーなどでも100円前後で買えますので郡山に立ち寄った際はぜひ食べてみて下さい。また、郡山市にはソウルドリンクと言われるカフェオレもあり、一緒に食べるとさらに絶品です。
学生時代は食品関係の研究をしていたため、経験を活かせるような就職先を探していました。検査会社は何社か受けましたが、その中でも江東微生物研究所は社員の方々が気さくで面接の際も学生が話しやすい雰囲気を作ってくれているように感じました。事業内容や勤務場所なども考慮しましたが、最終的には実際に社員の方々とお話しさせていただいたときの印象が入社の決め手になりました。
健康でいることが大切だと思います。私自身、入社後に体調を崩したことが何度かあり、「体は資本」という言葉を実感した経験があります。体調を崩すと仕事の効率が落ちてしまいますし、場合によっては業務に穴を開けてしまうこともあるかもしれません。異物検査では1検体の検査から報告までを個人が担当するため、最近は特に体に気を使っており、運動も習慣づけしました。
健康は仕事だけではなく、私生活を充実させる上でも基盤になるものですので、学生の皆さんも気を付けて下さい。
異物検査では食品成分や微生物、虫、動植物組織、金属、プラスチックなどさまざまな物質に対する広い知識が求められるので、勉強しがいがあります。初見では異物の正体が全く見当つかない場合もあるので、検査の試行錯誤や文献調査が必要になるのですが、難しさを感じることも多いです。その分、苦労した報告書でお客様に喜んでもらえると頑張ってよかったなと思います。
異物の内容だけではなく、発生原因などその後の対策に役立つ情報を提供できたときには「助かりました」と嬉しい言葉をいただいたこともありました。
働いている人の話をたくさん聞いてみて下さい。就職先を選ぶ上では自己分析や業界研究も必要ですが、生の声を聞くほうが自分の働くイメージをつかみやすいと思います。両親や兄弟、大学のOB・OG、アルバイト先の社員、趣味の仲間などさまざまな人たちからたくさん話を聞き、広い視野を持って就職活動に臨んでみて下さい。皆さんが「ここだ!」と感じる会社に出会えることを願っています。